高齢のお父様と同居するために、家族それぞれのプライバシーを守りつつ気配を感じられる家をご希望されました。吹抜けを挟んで向かい合う個室で、で距離を取ること追記夫はLD鑑賞に、妻は染め織りに没頭。吹抜けでは染織仲間と展覧会を開いたりしています。

この家の特徴

リビングは面積を抑えながら広々と

ご夫妻のリビングは日当たりのよい2階にして、南北に風が抜けるようにしています。空調がよく効くように面積は抑えて、その代りに吹抜けとの間をガラス窓にして広々と感じられるようにしています。

友人が立ち寄りやすい玄関に

友人が立ち寄りやすいように、玄関をガラス戸にして奥の明るい庭を見通せるようにしています。土間の床にはベンチを置いて、靴を脱がずに寛いでいただけるようにしました。

吹抜けをギャラリーに

玄関と階段のある家の真ん中を吹抜けにして、ライフワークにしている染織の作品を展示できるようにしています。友人と一緒に展覧会を開く際には3枚の引き込み戸で繋がる個室も利用。金属の壁と白い壁、木の天井と抜抜け、モルタルの土間と板張りと畳の床、仕上げに変化をつけて、それぞれの作品が似合う場所を選べるようにしています。

家族の気配を感じながら趣味に没頭

定年後のご夫妻とお父様がそれぞれの趣味に没頭できるように、人数分の個室を用意しました。吹抜けを挟んで向かい合うようにして、個室に居ながらお互いの気配を感じられるようにしています。

お父様が過ごしやすく介護もしやすく

階段は緩やかにして将来斜行機を付けられる幅に、車いすでも動きやすいように狭いところのない間取りにしました。お父様の寝室からは洗面・トイレへ直接出入りできて、シンクと洗濯機を備え付け、将来浴室までリフトで移動できるつくりにしています。道路よりも敷地がだいぶ高いので、屋外リフトを置けるようにしています。

DATA

所在地 神奈川県川崎市
用途 専用住宅(家族構成:夫婦+父)
構造・規模 軸組み木造2階建て
敷地面積 232.57㎡(70.21坪)
延床面積 180.47㎡(54.48坪)1階床面積:92.09㎡ 2階床面積:88.38㎡
完成 1996年11月
設計・監理 矢部真知子一級建築士事務所
施工 アサイ建設株式会社 担当:藤野 雄二
その他 新しい住まいの設計 2000年 05月号 掲載
住まい100選 No.32 掲載