定年間際のご夫婦に、どこで何をして過ごしたいかを聞いてみた。

 

夫「僕は居間の一角に書斎コーナーが欲しいな。定年になると会社に置いてある本を家に持って帰ることになるから、壁面一杯に本棚をつくりたいな」。

妻「私もミシンかけや裁縫がしたいから、居間の一角に布をしまえる場所が欲しいわ」。

夫「居間がごちゃごちゃするからそんなものは置くなよ。布は埃がたつし、ミシンはうるさいし。落ち着かないよ」。

妻「じゃあ、私はどこで作業をするの?」。

夫「どこかに余っている場所があるだろう」。

妻「別々の部屋で過ごすことになるわよ。私はそれでも構わないけれど」。

 

夫「食卓正面にはオーディオセットを置きたいな。僕の席はテレビ正面のここ。音は正面から聞かないとね」。

妻「私の席は?横目でテレビを見るの?首がこるし頭痛がひどくなるわ」。

夫「じゃあテレビ正面に並んでこしかければいいじゃないか」。

妻「横並びでごはんを食べるの?話しにくいじゃない」。

夫「話し?」。

 

 

竣工とほぼ同時に夫が定年になった。現在夫は、本棚とオーディオセットが並んだ居間で、パソコンいじりとLD鑑賞を満喫している。妻は、織り機2台とミシン2台が並んだ予備室で、織物と裁縫を満喫している。それぞれの友人も頻繁に訪れるようになり、気兼ねなく過ごしてもらえるようになった。2階の居間と1階の予備室は吹き抜けを挟んで向かい合い、気配は感じられるけれど、趣味に没頭しているときは気にならない。定年前はほとんど台所に入らなかった夫が、3時になると「コーヒーを入れるけど飲む?」と妻を誘いに来るようになったそうである。

 

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